作家
 小田 実のホームページ 年譜(プロフィール)

■  1930〜1940年代
■  1950年代
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■  1970年代
■  1980年代
■  1990年〜現在

1970年代


1970年(「昭和」45年)38歳
評論集「何を私たちは始めているのか」(三一書房)。編著「現代人間論」(筑摩書房)。(竹内好ほかとの)対話「問題のなかでしゃべる」(講談社)
真継伸彦、柴田翔、高橋和巳、開高健と季刊同人誌「人間として」を発刊(1970年1号―72年12号・筑摩書房)。「べ平連」は、私の発議で「週刊アンポ」を1969年6月に「ゼロ号」を出したあと、1970年1月17日号を創刊号として翌年6月の15号まで隔週刊で出した。

1971年(「昭和」46年)39歳
(森有正との)対話「人間の原理を求めて」(筑摩書房)

1972年(「昭和」47年)40歳
評論集「『生きつづける』ということ」(筑摩書房)。評論「世直しの倫理と論理」(岩波書店)。評論「空間と時間の旅」(河出書房新祉)。訳「エドモンド・デスノエス、いやし難い記憶」(筑摩書房)
「世直しの倫理と論理」は、「長いものに巻かれながら巻き返す」市民の政治学、政治哲学。「書き下ろし」で、過労で入院中の地方都市の病院のベッドの上で書いた。韓国の詩人金芝河の救援活動を始めた。これはのちに韓国民主化支援、金大中救出などの運動に発展、拡大した。

1973年(「昭和」48年)41歳
小説「ガ島」(講談社)。評論集「二つの『世の中』」(筑摩書房)。(中村真一郎との)対話「対話篇」(人文書院)。(深沢7郎との)対話「くらしのなかの男二人」(現代史出版会)
「ガ島」ははじめ「群像」(1973年10月号)に一挙掲載で発表した。戦争と現代にかかわる私流の「政治小説」。「これが小説なら小説観を変える」たぐいの小説であったにちがいない。

1974年(「昭和」49年)42歳
評論「自立する市民」(朝日新聞社)。評論「『ベトナム』の影」(中央公論社)。評論「状況から」(岩波書店)
「パリ会談」でベトナム戦争はようやく終結を見せ始めた。「べ平連」は74年1月に東京で「解散集会」を開いた。私はその集会に出ていない。仲間がその会でしゃべっていた。「彼(小田)は、昨年、アルマアタで開かれたアジア・アフリカ作家会議に出たあと、ヨーロッパヘ出、そのあとカナダヘ渡り、さらに南へ下って、メキシコ、グアテマラ、そしてラテン・アメリカ諸国をめぐって、アルゼンチン、ブラジル、そしてアフリカ西海岸へ渡り、ガーナその他をまわり、キンシャサヘ出て、東海岸のタンザニアを出たわけです。」「昨日、バンコックヘ電話を入れてみましたが、まだ着いておりません。……要するに小田実氏ぬきでべ平連は解散ということになります。彼が行方不明のあいだにべ平連がなくなっちゃうというのも、いかにもべ平連らしいという気がしないでもないですが(笑)……」
何んのために私が大旅行をしたのかと言えば、アジアの市民運動が集まる「アジア人会議」(同じ年に実際に開催された)を私がしようとしていたからだ。「アジア人会議」をするために、何んでまたラテン・アメリカ、アフリカくんだりまで出かける必要があったのか―それは私の文学、思考がそうしたものであるからだ。

1975年(「昭和」50年)43歳
小説「冷え物」、「羽なければ」(河出書房新社)。評論集「『鎖国』の文学」(講談社)
小説は二つともに、まず「文芸」に書いた。「冷え物」は1969年7月号、「羽なければ」は1970年3月号。「冷え物」は「差別」問題をひき起こした。私は自分の立場を明らかにする一文を書き、出版中止の要求に対し、批判文書をつけて出版を提案、実行した。

1976年(「昭和」51年)44歳
評論「地図をつくる旅」(文芸春秋)。評論集「『殺すな』から」(筑摩書房)

1977年(「昭和」52年)45歳
小説集「列人列景」(講談社)。小説「円いひっぴい」(河出書房新社)。評論集「私と朝鮮」(筑摩書房)。「見る 書く 写す」(三留理男と共著)(潮出版社)。(司馬遼太郎との)対話「天下大乱を生きる」(潮出版社)
「列人列景」は、「花電車」(「群像」1975年12月号)、「墓と火」(同1976年3月号)、「茫」(同1976年8月号)、「ラブ・ストオリイ」(同1976年11月号)、「ケシキ調べ」(同1977年3月号)、「疑問符」(同1977年6月号)を1冊に収めた小説集。「あとがき」に書いた。「景色のほかに人びとのつらなりというものがある。」「円いひっぴい」ははじめ「文芸」に1970年11月号―77年9月号まで連載した長篇小説。「一寸の虫にも五分の魂」があるなら、「一寸の虫にも五分の思想、観念」がある。その「一寸の虫」の「思想小説」「観念小説」。

1978年(「昭和」53年)46歳
評論「『民』の論理・『軍』の論理」(岩波書店)。評論「『共生』への原理」(筑摩書房)。エッセイ「旅は道連れ 世は情け」(角川書店)。エッセイ「人びとはみんな同行者」(青春出版社)。「『北朝鮮』の人びと」(潮出版社)。(開高健ほかとの)対談「変革の文学」(旺文社)

1979年(「昭和」54年)47歳
小説「タコを揚げる」(筑摩称房)。評論=旅行記「世界が語りかける」(集英社)。評論集「死者にこだわる」(筑摩書房)
「タコを揚げる」はその年の「文芸展望」にも載せたが、基本的には「書き下ろし」た人生と政治にあいわたる長篇。

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