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■ 声明文




2003年12月3日 声明
あらためて平和憲法に基づいて訴える。イラク派兵をやめよ。


 暴力は暴力を呼ぶ。はてしない殺戮の連鎖のあおりを受けて、奥克彦・在英大使館参事官と、井上正盛・在イラク大使館3等書記官が、イラク・ティクリート近郊で殺害された。私たちは彼ら二人に哀悼の意を捧げる。


 アメリカは、武力による世界制覇を公言さえする国に堕落した。
 9・11の自爆テロとイラクには何の関わりもなく、大義とされた大量破壊兵器も発見されていない。しかしアメリカは国連安保理を無視し、先制攻撃をした。この時点で、すでに日本は働きかけるべきだったのだ。「武器を棄て、無法な戦争はやめろ」と。

 日本は、世界に向かってそう訴え得る「平和憲法」をもつ国だ。
 いま、アメリカがつくりだした、テロリストが跋扈するイラクの情勢や、泥沼化したパレスチナ問題ほど、暴力によって問題解決はできないという「平和主義」の理念の正しさを示すものはない。
 非武力、非暴力による手だてと努力だけが、唯一、世界に平和を導く問題解決への方策ではないのか。

 アメリカの尻馬に乗りたい政府の「現実」に合わせての「改憲」論者たちは、じつは世界の現実を冷静に見ていない。日本のかつての現実さえ知らないのではないか。
 日本はかつて「殺し、焼き、奪う」蛮行をアジアに展開して、アジアの民に惨禍をもたらした。それだけではなく、自らが「殺され、焼かれ、奪われる」体験をもち、戦争の惨禍を背負い込んだ。
 かくて戦後の日本は「武力の行使は、国際紛争を解決する手段として永久に放棄する」という「平和主義」を憲法の理念の根においたのだ。
 政治の役割は、理念を棄てて現実に追随することではなく、現実を一歩ずつ理念に近づけていく努力をいう。

 「平和憲法」をもつ日本がまずやめるべきは、戦争の当事者、アメリカの誘いに乗ってのイラク派兵だ。戦場と化しつつある土地に軍隊を送ることは、さらに殺戮、無差別殺戮の火種を増やすことでしかない。
 まして、尊い生命を捧げた二人の死を、自衛隊派遣のさきがけとみなすことは許されない。
 二人は自衛隊派遣を容易にするために死んだのではない。首相その他のそうした言辞は死者に対する冒?でしかない。私たちは強い怒りをおぼえる。
 いま日本がするべきことは、問題解決に向けて、他の志ある国と手を結んでの非武力、非暴力の手だてと努力を今すぐに始めることだ。これこそが「平和憲法」をもつ日本が、まさに今すべき国際貢献である。

 「平和憲法」に現実的かつ国際的な価値が出てきたときに、ふしぎなのは過日の選挙にあたって、自民・公明、そして民主・自由は、小異を捨てるどころか大異も捨てて合同したにもかかわらず、「護憲」を主張しながら、共産・社民の両党が何の協力体制もとれなかったことだ。
 これでは両党とも敗北は当然の結果だ。
 今からでも遅くない。両党が協力して「護憲ハト連合」をつくることを勧める。ほかの政策はいくらでも違っていい。ただ一点、「護憲」のハトの志で」協同して、志を同じくする他党の人たちにも呼びかけてともに動く。その一点において、たとえば自民党の政治家をも加わり得る開かれた連合だ。
 「連合」の第一目標は――イラク派兵をやめさせる。


2003年12月3日


良心的軍事拒否国家日本実現の会
代表 小田 実
事務局長 山村雅治



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